イノシシを獲るために狩猟免許(わな)を取得して3年。
全くの初心者だった私でもなんとか”猟師”としてやれている現在ですが、今回はこれまでの猟師経験で私が感じたメリットとデメリットを率直に記してみたいと思います。
「狩猟免許なんてなかなか敷居が高い」「猟師ってどうなん?」と感じている方が多いと思いますので、”免許取得への一歩”や”猟師の実際”を知る参考にしてみてください!
まずは狩猟免許(わな)とはどういう免許かを紹介していきます。
狩猟免許(わな)を取得すると、「わな」を使って獲物を捕獲することができるようになります。
使用できる罠というのは以下の4種類
・はこわな
・囲いわな
・くくりわな
・はこおとし
なお”狩猟鳥”の捕獲のためにわなを使用することは禁止されています。
4種類のうちよく使われる2種類のわな

はこわな

くくりわな
捕獲する狩猟鳥獣によってわなを使い分けて使用します。
一人30個まで同時運用でき、設置した場所には決められたサイズの名札を取り付けなければなりません。
免許の有効期限は3年。
それでは猟師になって感じたメリット・デメリットをそれぞれ紹介します。
しかし始める前からの想像通りのことも多かったので、「そりゃそうだろうなぁ」というようなこともあるかもしれません。
それでも”当然のこと”から”実体験ならでは”のことまで、私が感じたことを書いてみたいと思います。
私が感じた猟師のメリットはこんな感じです。
・肉が大量に手に入る
・希少部位も手に入る
・生き物の生態や体のしくみに詳しくなる
・有害鳥獣駆除に従事すれば報酬がもらえる
簡単に一つ一つ見ていきます。
・肉が大量に手に入る
これはそのままですね、自分で捕獲すれば丸々自分のモノになるので大量の肉が手に入ります。
実際私も単独でわな猟をしており、捕獲後の搬出や解体が大変ですが1頭丸々自分のモノになるのでやりがいはありますね。
獲物の大きさにもよりますが、イノシシ1頭捕獲するとだいたい10~30kgぐらいの肉が獲れます。

大量のシシ肉はスライサーで処理すると早くキレイに!
・希少部位も手に入る
大量の肉が手に入るだけではなく、希少部位ももちろん手に入ります。
といっても私自身あまり肉の部位に詳しくないので、「具体的に〇〇の部位が~」と言えないのが悩ましいところ\(^o^)/
”肉”ではないけど心臓やレバーはもちろん、脳みそも食べられてしかも美味しい(私は未経験)らしいのでいつか試してみたいと思います('Д')

・生き物の生態や体のしくみに詳しくなる
これは猟をするにあたって必要なスキルでもありますね。
捕獲するために地面に罠を仕掛けるのですが、どこに仕掛けてもかかるわけではありません。
獲物の生態や歩くルートを見極め、前足で踏むのか後ろ足で踏むのかまでイメージしてピンポイントの位置に仕掛けることが大事になってきます。
何度も失敗し、いろいろ試行錯誤しながら学んでいく過程もまた貴重な体験だといえますね。
体のしくみについては、解体するのに詳しくないとできないのでこれも学ぶ必要があります。
私も始めるまではほとんど知らなかったけど、何度か経験すると一人でも解体できるようになりました。
実際やってみると「ここどうなってるの!?」というようなこともたくさんあり
まだまだ学ぶべきことがありますね。

・有害鳥獣駆除に従事すれば報酬がもらえる
私は仕事があるので従事していませんが、有害鳥獣駆除に従事すれば1頭あたりいくらかの報酬がもらえます。
報酬額は対象鳥獣や地域によって違うので一概にいえませんが
だいたい数千円~2万円前後ぐらいでしょうか。
ただし、わな代や見回りのガソリン代などの経費を引くと、それほど割のいいモノではなさそうですけど。
逆に猟師のデメリットにはどんなことがあるのか見ていきましょう。
・金がかかる
・時間がとられる
・怪我のリスクがある
・解体場所に困る
・冷凍庫がすぐいっぱいになる
これも一つ一つ見てみます。
・金がかかる
これは何をするにもだいたいお金がかかるので仕方ないことではありますね。
狩猟登録料やハンター保険代、猟友会などの組織に所属するならその会費にわな自体の費用と
まぁまぁの出費があります。
わなに関しては自作もできるのでだいぶコストが下げられます。
とはいえ1個約3千円ぐらいかかるので(くくりわなの場合)、30個運用するなら9万円、10個だとしても3万円必要ですね。
さらに1度獲物がかかったらワイヤーがダメになるのでその分また出費が必要に。
それに狩猟登録や会費関係に毎年約2万3千円かかってきます。
出費のことを考えると、「そのお金で肉を買ったほうがいいんじゃ?」と思ったりもするけど始めた以上、できるとこまでやろうという気持ちの方が今は勝っています\(^o^)/

・時間がとられる
これはわな猟に言えることですね。
わなを仕掛けると原則として毎日見回りをしなくてはいけません。
家の近所に仕掛けられれば問題はないですが、車で見に行かないといけない距離だと大変('Д')
仲間と交代で見回りしたり仕事の合間に確認しにいったりと、猟期中はかなりの時間をとられることになります。
万が一獲物がかかっていると、仕事も中断して捕獲作業や解体作業もしなくてはいけないので、ある程度時間に余裕のある人じゃないとわな猟は難しいかもしれませんね。
このあたりが「あ~もうすぐまた猟期が始まってしまうな~」とほんのちょっと億劫になってしまう部分でもあります。
「獲物が獲れていいな~」と思われることが多いかもしれませんが、猟期中はほとんどがこの地味でしんどい見回り作業の繰り返しです。

・怪我のリスクがある
野生動物と向き合うわけなので常に怪我のリスクはありますね。
わなで相手の行動を制限しているとはいえ、壊れて向かってくることもあり得ます。
私も100kg近いオスイノシシがかかったことがあり、向き合った時には命の危険を真剣に感じました。
気合だけではどうにもならない部分ですので、しっかりとした準備が大切になってくると思います。
野生動物相手の怪我だけではなく、山にはさまざまな危険があるのでデメリットの一つといえるでしょう。

・解体場所に困る
獲物を獲るなら自分で解体することも考えなければいけないのですが、問題はその場所の確保ですよね。
都会ではなくとも住宅街に住んでいる場合、自宅で解体するのはなかなか難しいかもしれません。
かといって肉を売るわけではないので設備の整った施設なども別に必要ではなく、要はご近所の目だったり迷惑にならない環境を確保できるかどうかがポイントになりますね。
衛生面を考えると水道や排水口がある環境が望ましいです。

・冷凍庫がすぐいっぱいになる
これはデメリットというか嬉しい悲鳴でもありますが、実際はなかなか深刻な問題の一つですね。
とにかく奥さんの理解がないと家庭内トラブルに繋がりかねません('Д')
そりゃ数10kgの肉の塊が急に入ってくるもんだから冷凍食品の行き場もなくなってしまうし、お買い物の計画も立たなくなってしまうかもしれません。
かといって友人や知人にお肉を譲ってばかりだとなんの為に狩猟免許とったのかわからないし、あらかじめ対策を考えておきたい項目ですね。
専用の冷凍庫を購入するというのも一つの手かも。
狩猟免許には
・第一種銃猟免許:銃器
・第二種銃猟免許:空気銃
・わな猟免許:わな
・網猟免許:網
があり、自分が必要とする免許試験に合格する必要があります。
住んでいる地域によって試験日などが異なるので注意が必要ですが、事前に有料の講習会が開催されていますので受講することをお勧めします。
受講することで合格率がかなり上がるはず!
狩猟免許取得の記事を参考にしてみてください!
狩猟免許というかなりニッチなテーマを紹介しましたがいかがでしたか?
文字ボリューム的にはデメリットの方が大きくなってしまったように思いますが
実際やってみると、始めなければまず体験することなどなかった多くのことを経験することができました。
私自身、猟師を始めて良かったか?と聞かれたら間違いなく良かったと言えます。
普段当たり前のように食べているお肉は多くの生き物から頂き、自分が体験することで命をいただいていることを実感し感謝することが大切だと知りました。
単純にメリット・デメリットだけでは測れない、色んな感覚や感情を体験することができたのも思い切って始めてみたからだと思います。
少しでも興味を持たれた方はぜひ免許取得を検討してみてはいかがでしょうか?!